債権保全とは?目的や具体的な方法について解説

公開日:2026/07/15
債権保全

債権保全とは、取引先の倒産や支払い遅延による未回収リスクを防ぐために、あらかじめ対策を講じておくことです。企業の資金繰りを守るうえで重要な考え方であり、適切な対応が安定経営につながります。本記事では、債権保全の目的や具体的な方法についてわかりやすく解説します。

債権保全の意味と目的

企業間取引では、売掛金や貸付金などの債権を確実に回収することが重要です。そこで、必要とされるのが債権保全です。

債権保全という適切な対策をし、未回収を防ぐことが企業の安定した経営につながります。ここからは、債権保全の基本的な内容を解説します。

債権保全の定義

企業間取引では、商品やサービスを提供したあとに代金を受け取る掛け取引が多く行われています。しかし、取引先の経営悪化や支払い遅延などで、売掛金や貸付金などの債権が回収できない場合もあります。

こうしたリスクに備え、事前に回収手段を確保しておく取り組みが債権保全です。安定した経営を続けるために、債権保全の基本を理解し、自社に合った対策を講じましょう。

債権保全の定義

債権保全が必要となるのは、主に掛取引や分割払いなど、後払いが発生する取引です。とくに新規取引先との契約時や高額な取引を行う場合には注意が必要です。

また、取引先の業績が不安定な場合や支払い遅延が見られる場合も債権保全を強化すべきタイミングです。事前に対策することで、リスクを最小限に抑え、安心して取引が継続できます。

債権保全しない場合のリスク

債権保全を怠ると、売掛金の未回収や貸し倒れといったリスクが高まります。取引先が倒産した場合、回収できる見込みが大きく下がり、企業の資金繰りにも悪影響を与えます。

また、回収のために法的手続きを行うと、時間や費用がかかります。企業に損害を与える事態を防ぐためにも、日頃から適切な債権保全対策を講じておきましょう。

債権保全の具体的な方法

債権保全の種類は大きく4つに分けられます。どの方法が適切かは、相手方との関係や状況によって異なるため、それぞれの特徴をしっかり把握しておくことが大切です。ここでは、代表的な4つの手段をわかりやすく解説します。

担保による保全(抵当権・質権・留置権)

担保とは、もし債務者がお金を返せなくなったときに備えて、あらかじめ「返済できない場合はこの財産で穴埋めします」と約束しておく仕組みです。物的担保の代表的な方法として次の3つが挙げられます。

質権は、貴金属や有価証券などを債権者が直接預かることで担保とする権利です。債権者が証券等を手元に置くことで、債務者による無断譲渡を防げます。

留置権は、代金が支払われるまで預かっている物の返却を拒否できる権利です。契約による設定は不要で、法律上自動的に発生します。修理業者が修理代金を受け取るまで品物を返さないケースが典型例として挙げられます。

抵当権は、債務者の土地や建物を担保に設定する権利です。債務者はそのまま不動産を使用できますが、返済不能になった場合は債権者が競売にかけて売却金を回収できます。抵当権は住宅ローンや事業融資の場で広く使われています。

保証・連帯保証による保全

保証とは、債務者が返済できない場合に、保証人が代わりに弁済する制度のことを言います。

通常の保証では保証人に催告の抗弁権、検索の抗弁権がありますが、連帯保証にはいずれもなく、債権者は債務者と連帯保証人の双方に同時に全額請求できます。債権保全では連帯保証が一般的です。

相殺による保全

相殺とは、お互いに持ち合っている債権を帳消しにする保全方法です。相手方が倒産・破産した場合でも、通常の債権者と異なり自己の債権を実質的に全額回収できる点が最大のメリットです。

しかし相殺を利用するには、双方の債権が同種かつ支払期限を迎えていることなどの条件を満たす必要があります。また破産手続き開始後は相殺に制限がかかる場合があるため、契約書に相殺禁止の特約がないかの事前確認が重要です。

債権保全をする時の注意点

債権保全は、トラブルが起きてからでは手遅れになる場合が少なくありません。

いざというときに確実に債権を回収するためには、事前の準備と適切な方法が不可欠です。ここでは実務上押さえておくべき注意点を解説します。

債権保全は契約前に行う

債権保全は、契約締結前または取引開始前に実施します。債務者の経営状況が悪化してからでは、担保設定や保証人の確保が難しくなるケースが多いためです。

取引相手の信用調査を事前に行い、リスクに応じた保全措置を契約書に明記しておくことが重要です。

保全手段を選ぶ際の判断基準

保全手段の選択は、取引金額や相手方の資産状況、取引の継続性などを考慮した上で判断します。

少額取引には保証、高額取引や不動産が絡む場合は抵当権の設定が有効です。複数の方法を組み合わせると、より確実な保全が可能です。

専門家(弁護士・司法書士)への相談が必要な場合

仮差押えや仮処分など裁判所を通じた手続きは、専門的な知識が必要なため弁護士へ相談しましょう。また、担保設定や根保証契約の作成においても、法律の要件を満たした契約書の作成が必要になるため、司法書士等の専門家への依頼を検討しましょう。

まとめ

債権保全とは、取引先の倒産や支払い遅延による未回収リスクを防ぐために、あらかじめ対策を講じておくことです。債権保全の主な方法には、担保による保全・保証や連帯保証による保全・相殺による保全の3つがあり、取引金額や相手方の状況に応じて適切な手段を選ぶことが重要です。また、債権保全は問題が起きてからでは手遅れになるケースも多いため、契約前や取引開始前に対策を講じておきましょう。仮差押えや担保設定など法的手続きが必要な場面では、弁護士や司法書士などの専門家への相談も検討しましょう。自社の取引リスクを正しく把握し、適切な保全措置を早めに整えることが、安定した経営を守ることにつながります。

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