ビジネスにおいて、支払期日に売掛金が回収できないことは珍しくありません。そんな時は、相手企業に支払いを求める「督促」が必要です。本記事では、督促と催促の違い、督促の具体的な手順までまとめて解説します。督促後も支払いがない場合の対処法も詳しく解説するので、ぜひご一読ください。
督促と催促の違い
催促とは、相手に対して「約束していたことを早く実行してほしい」と依頼する行為を指します。日常生活ではもちろん、ビジネスの場でも頻繁に用いられる言葉です。特に企業間取引では、売掛金の支払いが遅れた際に、まずメールや電話などで事情を確認しつつ支払いを依頼することが一般的です。この初期段階の依頼が「催促」にあたります。
一方で「督促」は、催促よりも踏み込んだ対応であり、約束の履行を強く求める意味をもっています。税金滞納時の自治体からの督促などが典型例で、ビジネスにおいても、催促を重ねても支払いがなされない場合に督促へ移行するのが一般的です。
ただし、督促自体に法的効力があるわけではなく「このまま支払いがなければ法的手段に移行する可能性が高い」というニュアンスを伝える役割を果たします。そのため、催促に比べて相手が支払いに応じやすくなる傾向があります。
督促の手順
債権回収の場面では、相手に支払いを促す際に、段階を踏んで対応することが一般的です。まずは電話やメール、手紙などで複数回の催促を行います。それでも支払いが確認できない場合には督促状を数回送り、最後の手段として催告書を送付する流れがよく用いられます。ただし、取引先との関係性や支払い遅延の理由によって最適な対応は異なるため、状況判断が難しい場合には早めに弁護士へ相談することが望ましいです。
催促
最初のステップである催促では、担当者に支払いが遅れていることを穏やかに伝え、まず事実確認を求めます。強い口調で責め立てるのではなく、あくまで「確認」の姿勢で連絡することが大切です。というのも、支払い遅延の原因が請求書の紛失や届いていなかったといった単純なミスであるケースも少なくないためです。この段階では、請求書を再発行して再送する、不明点の解消を図るなどの対応が求められます。
また、相手に支払い可能日を確認し、その内容を記録しておくことも重要です。
督促状の送付
催促を行っても支払いがない場合や、電話に出てもらえない、担当者が不在を続けるなど誠実な対応が得られない場合には督促状を送付します。督促状は、支払いを求める意思をより明確に伝える文書であり、通常は2〜3回送付して状況改善を促します。文書として残るため、後のトラブル防止にも役立つでしょう。
催告書
それでも支払いが行われない場合、最終段階として催告書を送付します。催告書は、法的措置を取る可能性があることを明記する、より強力な通知文です。通常は内容証明郵便で送付し、文書の内容や送付日を証拠として残すことで、法的手続きに進む際の準備となります。
督促後も支払いがない場合の対処法
取引先に対して督促を重ねても支払いが行われない場合、企業としては段階的により強い手段へ移行することが求められます。内容証明郵便の送付
まず有効とされるのが、内容証明郵便の送付です。これは郵便局が差出日時や文書内容を証明してくれる郵便物で、法的効力こそありませんが、通常のメールや電話よりも「正式な請求」であることを強く示せます。また、文書が後々の法的手続きにおいて証拠になる点も大きなメリットです。さらに、弁護士名義で内容証明郵便を送付すれば、より強い心理的プレッシャーを与えられるため、支払いにつながるケースも少なくありません。
支払督促の申し立て
内容証明を送っても反応がない場合、次の手段として裁判所への支払督促の申し立てが考えられます。支払督促は、裁判所が相手に対し支払いを命じる特別な手続きで、もし相手が異議申し立てをしなければ、そのまま強制執行に移行できるのが特徴です。相手と直接やり取りする必要がないため、比較的スムーズに進められる方法といえます。
民事訴訟
一方で、支払督促に対して相手が強く争う姿勢を見せる場合や、支払いに関する争点が多いと予想される場合には、早い段階で民事訴訟へ進むことが適切です。特に60万円以下の金銭請求であれば少額訴訟が利用でき、手数料も通常訴訟の半額程度で済み、原則1度の審理で判決が得られるため迅速な解決が期待できます。ただし、審理が1回であることから主張立証を短時間でまとめなければならず、難易度は高いとされます。そのため、訴訟手続きに進む場合は、早い段階から弁護士に相談し、適切なサポートを受けながら進めることが望ましいです。
強制執行
また、支払督促に対して相手が異議申し立てを行わなかった場合、あるいは裁判で勝訴した場合には、強制執行を申し立てることが可能となります。強制執行は、取引先の財産から債権を回収する最終的な手段であり、確実な回収につながる方法です。ただし、手続きは専門性が高く、書類作成や申立ての手順も複雑なため、こちらも弁護士のサポートが不可欠です。